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2006年11月25日 (土)

標準化

アメリカの医師の診療の内容はコントロールされていると思われます。その理由は幾つかあります。

・国レベルで規定された研修プログラムが全国ほぼ大きく変らない内容で実施される。また、その内容が充分であるか査察されており、不十分ならプログラムは認定取り消しとなる。

・専門医は更新性であり更新のための教育資源をみな均一に利用するため、同様の新しい知識を研修後も多くの医師が手にしていくこととなる。

・訴訟や保険会社との兼ね合いであるが、標準的な治療というものが常に求められており(定義は難しいですが)、それを満たそうとする努力がある。 JACOHという日本でいう病院評価機構の査察と勧告の権限が非常に強いこともあります。

とはいえ、実際働いてみれば細かなところで上司の意見は食い違うし、開業医などは大分我流の医療をされているとも聞きます。(民間療法を薦めるひとすらいると聞きます。) ただ、感冒に抗生物質は効かないし処方しないと、中耳炎に抗生物質を控えていこうとか、市中肺炎のガイドラインによる抗生物質の使い方など(ガイドラインが多々あり、それぞれに推薦が微妙に違いますが)そういう基本的なところは共通しています。

色々と文句の多い日本の初期研修制度ですが、多くの医師が似たような(実際はひどい差があるようですが)研修を受けて師一定の質の医療を提供できるようになることはよいことと思います。その後に標準以上のことを自分で目指せばよいのだと思います。国民に「でこぼこがよいのか、ある程度ゆるやかな質が保たれた中での差がよいのか」聞くべきと感じています。

2006年11月24日 (金)

いろいろとやることあるのですが

本を読んでしまいました。

慈恵医大青戸病院事件―医療の構造と実践的倫理 Book 慈恵医大青戸病院事件―医療の構造と実践的倫理

著者:小松 秀樹
販売元:日本経済評論社
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小松先生の聡明さと勇気に驚きました。大分激しい論調の本ではありますが、多くの医療者が口にしない矛盾点・問題点をわかりやすく指摘しています。 また、彼自身が臨床に必死に打ち込む人であることに安心を覚えます。どうしても医療マスコミの人によって書かれた場合に、身を削る医師のことが抜け落ちる感があるからです。 それにしても思い切った本を書いたものです。日本の医療・病院を考える上でとても大事な本と思いました。 安全対策を考える多くの病院幹部の方もこの本を読まれているのだろう思いました。そしてそれによって医療の底上げに繋がればと思います。

朽ちていった命―被曝治療83日間の記録 Book 朽ちていった命―被曝治療83日間の記録

販売元:新潮社
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放射線被爆の人に与える影響のすさまじさにあらためて驚きました。また高度集中治療の凄まじさに驚きました。やっぱり大学病院は凄いなあと思いました。日本の高い集中治療のレベルは世界に誇れるものと思いました。 あとは良い臨床研究の積み重ねで更なる前進を目指すことが大事なのでしょう。 それにしても、お金と軍備の均衡で動くマクロの視点、被爆、汚染などの地域・個人の視点の融合は難しいと思いました。

2006年11月20日 (月)

小児を診る上で

一般にいわゆる見た目、始めにその児を見たときに、「具合が悪そう」「少し不機嫌だ」「元気がない」「熱があるけれど元気」など色々思う印象がが大事といわれいてます。

とても大事なことと思うのですが、そこに頼りすぎるといろいろと問題が起きる気がします。

咽頭痛できた既往のない3-4歳児がいてちょっと不機嫌だなと思う程度でしたが、咽頭後膿瘍でした。海軍病院時代の話です。

昨日は13歳の男性で夕方から始まった咽頭痛、なんだか息が苦しい気がするということでした。笑っていれるくらい元気なのですが、何か話しがおかしいので色々検査すると頚部X線でのみ見つけられた縦隔気腫でした。

5歳男児で以前発熱で救急で受診したが、様子見るようにといわれたけれど首が痛いし頭も痛いとのことで再来。おもちゃで遊べるくらい元気。だけれどリンパ節も腫れているし、声もおかしい気がすると母親の意見。CTをとったら咽頭後膿瘍でした。

やはり、小児でも(こそ)病歴と身体所見が大事で、広い鑑別診断と「何かがおかしい?」という感覚を臨床経験から磨いていくことがとても大事なのではと思いました。

どんな素晴らしい施設で研修しても数ヶ月で小児科をマスターするのは他の科を数ヶ月でマスターするのが無理なのと同様難しいのであろうと感じました。

とはいえ、小児は全部小児科医が診るべきという意見にはかなずしも賛成しません。(これについてはまた別の機会に書きたいと思います。)

2006年11月17日 (金)

評価:結構大変です

最近、プログラムディレクターとの半年に一回の面接がありました。「基本的には良くやっていると思う」といわれましたがいろいろと考えることがありました。

私のプログラムではシフトごとにスタッフにメールがおくられてウェブ上でランダムに選ばれた項目について評価されます。

英語が母語ではなくいろいろと苦しんでいるのでそれに対するコメントが多く、頑張らないとこれで首になってしまうなあ、と痛感しました。とてももっともなことです。言語が不十分であればいろいろと仕事上の問題があります。

自分なりにいろいろと考えてやっていこうと思います。とはいえ人間一日で激変できません。今日もいろいろとマイナーミスをしました。

反省です。以前別の機会に先輩に言われたように「患者さんのことを考えながら良い仕事を心がける。後は天命を待つ」そうしようと思います。

2006年11月14日 (火)

ワクチン

以前、米国ではインフルエンザ菌、肺炎球菌のワクチンがなかったため、クループを疑ったときは喉頭蓋炎が否定的になるまでは、喉頭鏡をもって児についていろといわれていたそうです。(20年近く前の話らしい)。これらのワクチンのない日本はまだ頚部X線をとり続けた方が安全なのでしょうね。 今はクループを疑ってもまずX線はとらないのが私の施設です。

クループを考えたときのX線について以下が参考になるかと思います。

http://www.hawaii.edu/medicine/pediatrics/pemxray/v2c20.html
http://www.hawaii.edu/medicine/pediatrics/pemxray/v1c10.html

いわゆるsteeple signが有名ですが、正常例も細くなっている気が
することが結構あります。
どちらかというと側面像の方が単純な私の頭にはわかりやすいです。

治療は特に変らずエピネフリンの吸入とデカドロンで対処します。殆どの子供がしっかりとワクチンを打っているために、インフルエンザ菌など危険な菌による感染症が大分すくなくなっていることが背景にあります。

少し本題からはずれますが、小児の発熱の検査も年々、なるべく少なくという方向です。これもインフルエンザ菌、肺炎球菌などのワクチンの影響でoccult bacteremiaが大分少なくなっているということもあります。

中耳炎についてもアメリカは抗生剤を処方しすぎの傾向がありましたが、最近はウイルス性が多いので2歳を過ぎれば抗生剤は控えるか、処方箋を渡して2-3日薬を使うまで様子をみる、という報告に変ってきているようです。

MMRで無菌性髄膜炎が多発したとのことで、ワクチンの接種が任意になったと記憶しています。また、それ以来日本ではワクチン全体への消極性があるのではと思っています。 真剣に見直したほうが良い気がします。(恐らくはそのように多くの方が考えて行動されていると察しますが。)

2006年11月12日 (日)

寒いっす+小児救急

さむいっす。マイナス5度とか、雪が降っているのに雷がなってて驚きました。こんなのもあるんですね。シートヒータとアパートと病院の駐車場がしっかり屋根つきで寒さへの暴露が数分未満ということに助けられています。

今は小児救急で毎日学ぶことがあります。一番学んでいるのは子供とお母さんとの接し方。日本以上に社交がうまいことが求められている感じがします。一生懸命服を褒めたり、見ているテレビのキャラクターの話しをするようにしています。声のトーンを変えて話すのはあまり好きじゃないですが、郷にいっては郷に従えで頑張っています。 また、もう一つ大事なことは耳掃除の仕方です。こちらでは日本のように竹の耳かきでの掃除をしないし、綿棒しかありません。また綿棒での掃除は推奨されていません。そのため耳垢の多い子供が多いのです。中耳炎の診断は小児救急において結構大きなことで、鼓膜がみえさえすれば簡単なのですが、みんな耳垢掃除されるのが大嫌いだし、必ずなくし親は怒るしで結構つらいものです。 試行錯誤してあまり泣かせないで耳を見る方法を模索中です。

小児救急は大人よりもずっと問診と身体所見の占める割合が大きいので勉強になります。また上司がとても人柄がよく、優れた臨床医であるため、毎日のシフトで学ぶこと・発見がたくさんあります。 こちらに来る前は日本でも一生懸命やっていればいろいろと勉強できるし、渡米の必要があるかについて疑問をもっていましたが、私のような中途半端な医師にとってみると渡米すると毎日学ぶことばっかりでついていくのが大変です。あらためてERで働く医師のとてつもなく広い守備範囲を感じています。

2006年11月 8日 (水)

14年ぶりの剣道

運動不足なので行ってみました。いろいろと運動になったのですが、体力が持たずまた全身が筋肉痛です。 剣道は結構すきなのですが、問題はにおいです。結構防具とか剣道着が厳しいところがあります。早速洗濯して普段使用していないお客さん用の一室にかけてありますが、大丈夫かなあ。

2006年11月 3日 (金)

反省

学会からの帰りに、アメリカ人の中年男性が隣になった。熱心なクリスチャンで自分のことだけでなく、誰かのために祈り行動することを実行しようとしているという。

最近、学会に行くにあたってボストンから来る先生に会えることや、日本に帰ることが出来るということなどで、なんだか安定していなかった。今いるこの素敵な田舎町のよさを忘れているところがあったと思う。ぼやきの多い性格のため、気づくと直ぐに幸せ・満足を忘れて次なるものを目指してしまう。少し落ち着いて自分の足場を固めなくてはと思った。また、良い人が多く、自然が綺麗で、安全なこの町をもう少し楽しもうと思うようになってきた。

2006年11月 2日 (木)

福岡

に行ってきました。学会参加のためです。短い時間でしたがとても充実しておりました。

この街は大きさや交通の利便、食や文化にとても魅力の多いところでとても気に入っているところです。人も(恐らく保守的なところもあると思いますが)、割と裏表がなくて話やすい人が多いです。大きすぎる都会では(飛行機で隣だったアメリカ人もいっていましたが)、人間関係が難しくなるのですが(二枚舌など)、こちらの人にはそれほど感じません。

大学の先輩、初期研修の同僚、沖縄の同僚、ER検討委員会の先生方といろいろな方にお会いして大きなエネルギーをいただきました。

それぞれ自らのフィールドに邁進していらっしゃる姿をみて自分も文句ばっかり言ってないで頑張ろうと思いました。

三日目のERに関するパネルディスカッションは今まで私が見た救急医学会のディスカッションの中で最も面白いものでした。(とはいっても三回しかいっていませんが。)それぞれの発表者が、とてもまとまった発表をし、後期研修小委員会からはモデルプログラムの公開がありました。

寺沢先生が非常に示唆に富んだ発言をなされ、ますます、ERというシステムが救急医学会に根付いていくことを感じました。

アメリカからの発表者も含め多くの、救急医療の先輩方が魅力ある救急医であるための要素を語り、私としてもとても参考になりました。

2006年11月 1日 (水)

カルテの向こうに

鳥取の先生が書かれた本です。様々な患者さんのドラマが書いてあってとても勉強になりました。 呼吸器内科医として、往診医として、救急医として、集中治療医として、緩和ケア医として、そしてみずから患者さんのための会や遠方からの患者さんのための宿泊施設まで作ってしまう。

こんな素晴らしい医師にはアメリカでは滅多に出会えないだろうと(専門医の厳粛さという点もありますが)つくづく思いました。 自分は能力から考えるとERでしか働けそうにないですが(その後はどうなるか今のところ不明です。)医師としての姿勢をもう一度謙虚に見つめ直し、日々の出会いから学び患者さん中心でありたいと思います。

日本で総合診療とおっしゃっている方々の古き良きモデルなのだろうと思います。ただ、残念なことに今後このような素晴らしい医師は、医療制度上、専門医、訴訟などの背景から減っていくのでしょう。 研修医の方々に是非お勧めしたい本です。御紹介いただいた私の尊敬する救急医の先生に深く感謝いたします。

絶版ですがamazonで中古が買えます。

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