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2007年4月12日 (木)

救急にかかわる人々:EMS1

今月はEMS:Emergency Medical servicesというローテーションです。多くのレジデンシーでは病院前救護体制を学ぶこのローテーションを救急車に乗ったり、司令室をみたりEMSdirectorから講義を受けることを中心にしていると思います。

私のプログラムの少し違った点は病院前の経験を医療ヘリコプターを通じて行うところが多い点です。ヘリコプターについてはまた次回に書く予定です。

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私の住む田舎町で急患が発生すると911(日本と逆ですね。)に電話をかけます。

電話は市庁舎の隣接する警察の司令室につながりその重症度に応じてどのような人たちが派遣されるかが決まります。

たとえば心肺停止の場合は、パトカー、消防車、救急車のすべてが導入されます。

どうして??という感じですが

私の住む小さな町では警察官がみなcertified first responder

http://en.wikipedia.org/wiki/Certified_first_responder

(簡単にいえばCPRの講習を受けているということ)で町を巡回するパトカーすべてにAEDが取り付けられているとのことです。

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またこの町の消防士はEMSdirectorの方針ですべてbasicEMTの資格を持っている

http://www.naemt.org/

ので救命士として活躍できるとのことです。

日本でも心肺停止の場合には人手を確保するために消防車と救急車が同時に出動することがあります。

この資格は州によって発行されます。また最低限の共通カリキュラムはDept of Transportation日本で言う運輸省の規定するものということで総務省消防庁が管轄する日本との違いを感じます。

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EMTは3-4段階に分かれていますが、その中で一番長いトレーニングを要するのがパラメディックです。州や地域、そしてEMSdirectorの作るプロトコールによって裁量の範囲は微妙に変わりますが、多くの侵襲的な手技をすることができます。日本と同様、気管内挿管、コンビチューブ、ラリンジアルマスクを含めた気道管理。胸くうドレーン、輪状甲状間幕穿刺なども行います。もちろん血糖測定と投与、喘息へのベータ2のネブライザー、痙攣への薬剤投与なども行うことができます。

(パラメディックの裁量範囲について米国においてもいろいろと意見があるようです。また研究によっては食道挿管が多かったなども報告されています。)

日本でも救急救命士の方々の裁量が広がっていっています。個人的には好意的に捕らえています。ただ、米国をまねるだけでなく検証に基づいた日本なりの良い資格になっていけばよいなあと考えています。

ACLSにのっとった心肺蘇生が可能であるため病院外でACLSを行い院外で死亡宣告をすることも多いです。従ってERで起きたもしくは病院の直近で起こった心肺停止以外はERで心肺蘇生をすることはめったにありません。

死亡診断書は検死官が書くと聞きました。

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日本でも米国でも病院前という厳しい環境の中ですばらしい仕事をするプレホスピタルスタッフの方々を尊敬しています。

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いろいろな人の努力で私の住む小さな田舎町の病院外でのVfの社会復帰率は47%だそうです。愛知万博の75%も凄いですが、この数字も凄い数字です。

追記:

ER マガジンという雑誌を読み返していて2006年の10月号にオレゴンの中村先生がプレホスピタルプロバイダーの方々のことをまとめてくださっていたので参考になると思います。

Book ERマガジン (Vol.3No.5(2006年10月号))

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