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2007年4月29日 (日)

EMS2-1: 医療用ヘリコプター

 学生の頃、実習に行った病院で外科医の先生が専門的な手術を行う施設数が多すぎて十分な教育の機会があり・外科医の質を維持することが難しいことがあると教えてもらいました。その先生曰く、ヘリコプターなどの病院前の搬送手段が充実しないため拠点病院化が難しいとの話でした。

 今日本はまさに医師不足現場崩壊という状況で拠点病院化が進んでいます。そんななかヘリコプター救急の果たす役割はとても大切と考えております。

http://www.asahi.com/health/news/TKY200704260181.html

ドクターヘリを推進する法案もこのまま順調にいってほしいと切に願います。

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 前任地での救急部長の先生のご指導でいろいろとその重要性・現場の心構えや実際の活動を学ばせていただきました。

http://www.medimedi.org/mediblog/archives/2005_9_1_83.html

「ドクターヘリ」ではなかったのですが、日本と米国で医療用ヘリに同乗するというのはあまりなさそうな経験なので、簡単な紹介をさせていただければと思います。

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Dscn1081 ユーロコプター BK117という機種だそうです。ヘリコプターによる搬送を行い始めたのは20年少し前で米国では50番目くらいであったのとのことです。現在米国におよそ300以上の医療用ヘリコプターがあると伺いました。

私の働く施設の病院ネットワークが所有するヘリコプターは3台でそのうちメインの病院の11階にあるヘリパッドにあるこの写真のものがIFR(計器飛行方式)が可能です。鼻のところの黒いのがその証拠です。残り二台も来年にはIFR可能になると聞きました。この2台のヘリコプターはメインの病院から100キロ程度離れていてます。大体時速300キロと考えると中心の病院から半径400キロ前後をカバーすることになるでしょうか。

(またジェット機で国を問わず患者さんを迎えにいくこともあるそうです。イリノイ州・ケンタッキー州などいろいろな州から運ばれてきます。)

Dscn1082_1  11階の格納庫の中です。冬場は寒くなり氷結でヘリコプターの羽のバランスがおかしくなる可能性があるため格納庫によくヘリコプターを運び入れます。

(つづく)

2007年4月12日 (木)

救急にかかわる人々:EMS1

今月はEMS:Emergency Medical servicesというローテーションです。多くのレジデンシーでは病院前救護体制を学ぶこのローテーションを救急車に乗ったり、司令室をみたりEMSdirectorから講義を受けることを中心にしていると思います。

私のプログラムの少し違った点は病院前の経験を医療ヘリコプターを通じて行うところが多い点です。ヘリコプターについてはまた次回に書く予定です。

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私の住む田舎町で急患が発生すると911(日本と逆ですね。)に電話をかけます。

電話は市庁舎の隣接する警察の司令室につながりその重症度に応じてどのような人たちが派遣されるかが決まります。

たとえば心肺停止の場合は、パトカー、消防車、救急車のすべてが導入されます。

どうして??という感じですが

私の住む小さな町では警察官がみなcertified first responder

http://en.wikipedia.org/wiki/Certified_first_responder

(簡単にいえばCPRの講習を受けているということ)で町を巡回するパトカーすべてにAEDが取り付けられているとのことです。

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またこの町の消防士はEMSdirectorの方針ですべてbasicEMTの資格を持っている

http://www.naemt.org/

ので救命士として活躍できるとのことです。

日本でも心肺停止の場合には人手を確保するために消防車と救急車が同時に出動することがあります。

この資格は州によって発行されます。また最低限の共通カリキュラムはDept of Transportation日本で言う運輸省の規定するものということで総務省消防庁が管轄する日本との違いを感じます。

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EMTは3-4段階に分かれていますが、その中で一番長いトレーニングを要するのがパラメディックです。州や地域、そしてEMSdirectorの作るプロトコールによって裁量の範囲は微妙に変わりますが、多くの侵襲的な手技をすることができます。日本と同様、気管内挿管、コンビチューブ、ラリンジアルマスクを含めた気道管理。胸くうドレーン、輪状甲状間幕穿刺なども行います。もちろん血糖測定と投与、喘息へのベータ2のネブライザー、痙攣への薬剤投与なども行うことができます。

(パラメディックの裁量範囲について米国においてもいろいろと意見があるようです。また研究によっては食道挿管が多かったなども報告されています。)

日本でも救急救命士の方々の裁量が広がっていっています。個人的には好意的に捕らえています。ただ、米国をまねるだけでなく検証に基づいた日本なりの良い資格になっていけばよいなあと考えています。

ACLSにのっとった心肺蘇生が可能であるため病院外でACLSを行い院外で死亡宣告をすることも多いです。従ってERで起きたもしくは病院の直近で起こった心肺停止以外はERで心肺蘇生をすることはめったにありません。

死亡診断書は検死官が書くと聞きました。

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日本でも米国でも病院前という厳しい環境の中ですばらしい仕事をするプレホスピタルスタッフの方々を尊敬しています。

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いろいろな人の努力で私の住む小さな田舎町の病院外でのVfの社会復帰率は47%だそうです。愛知万博の75%も凄いですが、この数字も凄い数字です。

追記:

ER マガジンという雑誌を読み返していて2006年の10月号にオレゴンの中村先生がプレホスピタルプロバイダーの方々のことをまとめてくださっていたので参考になると思います。

Book ERマガジン (Vol.3No.5(2006年10月号))

販売元:シービーアール
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2007年4月 9日 (月)

きっと年を取ったのでしょう

昔お世話になっていたMLでなじみのあった方にSNSで辿り着き、skypeで話をしました。(なんだか時代は変わったなあ。)

そんなときに話題に上がった懐かしいホームページを紹介します。

私のブログを呼んでいる一般の方もしくは医学生の方がどれくらいいるのか疑問なところですが、医学生の実情や希望・落胆などが非常にわかりやすく書かれているのでとても参考になります。

僕もこの人たちを参考にして大学時代に症例検討の勉強会をしたことを覚えています。

http://web.kyoto-inet.or.jp/people/tesshu/index.html

医学教育はその後いろいろと変革があり、症例中心とした自主学習を促す教育手法や臨床医学との接点を早くから設けるなどいろいろと変わってきています。

また、共用試験というSTEP1のようなものも行われていると聞きます。学生のころは、口頭試問など主観的な評価によって合否が決まってしまうことがあること、各部門の連携が必ずしも十分でないため講義の連携が完全でなかったことなどから、いろいろと卒前教育の改善というものに興味を持っていました。

今は、難しい卒前教育よりも初期臨床研修中の教育により興味を持つようになっています。そのせいで30代でもう一度一からやり直しをする羽目になっていますが。

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