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2007年10月 2日 (火)

小児救急って難しい2

正しく見逃し症例を体験しました。

5ヶ月男児満期分娩生来健康。一週間続く下痢と二日間の嘔吐を主訴に小児科外来受診。少量頻回の補液を指示され帰宅。自宅にてやはり嘔吐が続き元気も泣き止まないため来院。咳なし、鼻汁なし、家での発熱なし。体温37.7度、脈拍120、SPO2:99%、看護師がチアノーゼがあるような気がしたとのことでSPO2を測りなおすと80台であったが直ぐに90台になったとのこと、私が診察。不機嫌で泣き止まず元気がない。眼球が陥没気味であり脱水が強い印象。首は柔らかく両鼓膜も正常。胸部は頻脈で収縮期雑音あり。ラ音は聞かれず。腹部は平坦で軟。直腸診で血液なし。

脱水が強く頻脈も頻呼吸も心配のため採血・点滴・入院が必要と判断しました。

指導医が診察すると収縮期雑音が単なる血行動態の亢進と思えないとのこと、両側大腿動脈を触れると弱い。。。上肢>下肢の血圧。そう大動脈縮窄症でした。正直いまのところも下痢嘔吐との関連は今一よくわかりません。ただ主訴と病歴にとらわれて収縮期雑音を追求できなかったことが見逃しの理由だったと思います。指導医は背部でも聴診をして縮窄症を考えたようです。

海軍病院時代も縮窄症を間接経験しましたが、やっぱり難しい病気だと思います。家に帰って本を読み直してみても、結局しっかりと診察をすること、鑑別診断にこの病気を入れておくことが大事なのだと改めて、反省するしかできませんでした。恐らく入院させても救急外来で引っ掛けないとみんな偏見を持って診察して気付かないのだと思います。確か沖縄の場合も呼吸不全とERで診断されていました。身体診察をしっかりやらないといけないと改めて反省した症例でした。

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コメント

新生児期にみのがされて、乳児期に「なぜか具合が悪い、ここ数日なきやまない」と、ERにきて、大動脈縮窄の診断がついて手術になった例はよくみました。エコーでみると、かなり心機能が落ちていることが多く、こういった場合、準緊急で手術になります。
こればっかりやってるほうは、思いつきますが、最初のscreeningから比較的稀な疾患まで想定するのは大変ですね。
ちなみに、日本人に比べて、欧米人は左心系の心奇形(左心低形成症候群、大動脈弓低形成/大動脈縮窄、など)の頻度が高いようです。

ご無沙汰しています。小児救急は簡単だと思っている救急医もおられるので、先生の経験は非常に貴重だと思います。

鼡径動脈の触診は、クセにしておかれるとよいと思います(私はオムツをつけている位の年齢であれば、腹部の触診、外陰部の視診とセットにして忘れないようにしています)。小さい子の場合、普段から触れておかないとなかなかわかりにくいものです。また脈がしっかり触れるということは、非常に大切な情報です。

生後5ヶ月で脈拍120は別に頻脈ではありません。むしろ脱水になっている可能性や不機嫌であることを考えると徐脈ではないかと思いました。優秀な看護師はトリアージでそのようなことをすることはないと思いますが、ときにパルスオキシメーターを装着して拾われる心拍数を使っている人がいます。SpO2が一時的にでも低かったという記述からするとその可能性も考えられますね。トリアージの数字はあくまでもトリアージのためですので、疑わしいときには必ず自分で心拍、呼吸数なども診察時に測るクセをつけるといいと思います。

小児救急は確かに難しいと感じることはありますが、バイタルサインにしっかりと留意していれば、「おかしい」と気づく確率は高くなり、先生のセンスにもさらに磨きがかかるのではないかと思います。偉そうなことを言ってすみませんでした。

yasu先生、のび先生
コメントありがとうございました。コモンな病気のなかから見逃したら危険な病気も拾い上げるのが理想的なER医なのですが、実際いろいろと問題ばっかりです。めげずに今後も勉強してそれを将来後輩の先生たちに効率よく伝えることができるようになればと思っています。大腿動脈の触診をなるべくルーチンかするように心がけたいと思います。

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