« 2009年2月 | トップページ | 2009年5月 »

2009年3月24日 (火)

中毒4 Toxidrome

ローテクのようですが、中毒で大事なのは例によって病歴と身体所見です。量によってどんなものも毒になる、わけですからスクリーニングといううまいてもなくて、地道にやるしかないようです。

病歴で大事なのはMATTERS
   1. Materials or Medications
   2. Amount or concentration
   3. Time taken
   4. Emesis
   5. Reason
   6. Signs and Symptoms

身体所見では
・意識状態
・瞳孔
・皮膚(toxicologist hand shakeという腋を確認するのは有名ですね。)
・匂い
・神経学的所見(クローネスなどはセロトニン症候群で有名ですね。)

中毒による症状toxidromeでは主に

1.Sympathomimetic toxidrome
2.Cholinergic toxidrome
3.Anticholinergic toxidrome
4.Salicylate
5.Serotonin
6.Opiate toxidrome.
7.Sedative/hypnotic toxidrome.
が大事ですね。
皮膚の乾燥で1と3は区別がつきますね。2におけるSludgeBBBも有名ですね。

    * S = Salivation
    * L = Lacrimation
    * U = Urination
    * D = Defecation
    * G = GI symptoms
    * E = Emesis
    * B = Bronchorrhea
    * B = Bronchospasm
    * B = Bradycardia

Serotonin症候群は80時間ルールの下になったLibbyZionで有名ですね。Hunter基準は有名ですね。アスピリン(時期によりますが)とアセトアミノフェンは症状がなくて見逃すことがあるのでよく検査します。

しかし日本では殆どの病院でこれらの検査はできないわけで、安全管理も含めて(身体的に大丈夫であっても:時には精神科に診てもらっても、再度過量摂取したり、今度は自傷したりして再搬送ということがありますから)家族付き添いで入院してもらって(マンパワーの少ない日本の病院で危険の高い過量摂取の患者を付き添いなしで入院させたら何が起きても病院の責任のわけですからこりゃ大変です。)翌日再度診察採血して昼間に精神科受診になりますかね。肝機能に少しでも以上があったら真剣にアセトアミノフェンをとったのかこれはやばいと思うことも大事かもしれません。

液クロマトグラフィーで濃度を測ることは大事だと思うのですが、上記の過程を経て怪しい物質に対して適応がある場合に行うのがいいのかなあと最近は思っています。

2009年3月17日 (火)

中毒3 尿検査 トライエージ?

原因不明の意識障害、中毒にて尿による検査(私が日本でよく使っていたのはトライエージ)をして診断を、、、、というのは日本でも米国でもあると思います。

これにはいくつかの大きな落とし穴があります。

1.もし陽性があったとすると実は他に原因があるにもかかわらず鑑別診断の早期閉鎖が起こりうる。(ティアニー先生もよくおっしゃりますが、鑑別診断の早期閉鎖は誤診のもと。)

2.陰性だった場合も中毒でないと思い込んでしまう可能性もあります。実際は尿のスクリーニングによって除外できる中毒物質は氷山の一角で「量が中毒にする」わけですからなんでも毒になりえます。そして下記で触れるように多くの偽陰性もありえます。

2.陽性だった場合、「診断はこれだ!!」と思いそうですが物質によって特異度が違うわけで擬陽性となる物質はたくさんあります。
有名なの風邪薬→エフェドリン(麻黄などに含まれる)やで覚醒剤(アンフェタミン)
ザンタック→アンフェタミン
咳止め→デキストロメタファン、ジヒドロコデインで麻薬OPIが陽性
麻薬においてはオキシコンチンなど新しいものの感度は低いので偽陰性の可能性が
ベンゾ→偽陰性が多く良く見逃す
PCP→擬陽性多い
大麻THC→非常に正確
バルビツレート→正確だが過量摂取されることが少ない
コカイン→非常に正確

このサイトが非常にまとまっているので御参照されてはいかがと思います。

中毒というと採血してUDSして胃洗浄・活性炭というのは色々と問題があるということがお分かりいただけましたでしょうか。コカインやバルビツレートを除いて、多くの場合は血清にて確認検査をすることが米国では勧められています。(日本の臨床検査には米国ほどお金がかけられるシステムでないため日本ではほぼ無理な話ですね。それゆえに尿による検査の乱用は臨床現場の混乱を招きかねません。)

中毒においてはtoxidrome(中毒による症状)を大事にすること、どの薬を、どれくらいの量をいつ、というのが大事で家の人にゴミ箱を調べて空き袋を持ってきてもらったりすることが上記のアプローチより有用と思います。

中毒の専門家になるほど検査や無駄な治療が減って、素人ほど尿検査や無駄な治療をするというのが米国での傾向です。日本もそうなのでしょうきっと。

2009年3月10日 (火)

中毒2 治療

学生のころ中毒といえば胃洗浄?活性炭?って感じだったのが懐かしいです。

(今でも内科系の人たちは何で活性炭を使わない?胃洗浄をしない?という議論になっていつもサインアウトをしつつミニレクチャーになりますが。)

胃洗浄の適応というのは本当に狭いですよね。服用一時間以内に来院した場合ですから大分限られます。米国の三年間で薬物過量摂取の患者をたくさん診ましたが、胃洗浄した例は0です。胃洗浄するにもめちゃくちゃ太いチューブ使わないといけませんしね。
Lavage
日本でも使ったことのあるこのシステム最大40FRまであるそうです。
錠剤が出てこないと意味ないので納得です。


--
活性炭を無症状の患者に投与することに意味はないというデータが私の施設の中毒専門家が研修したシンシナティから出ているそうです。
これも1時間以内が好ましく、救急隊が投与してくることがありますね。
反復投与をする意味がある除法剤やアスピリン、テオフィリン、バルビツレート、カルバマゼピン、フェニトインなどを覚えておくことが大事ですね。語呂は林先生の

ステップビヨンドレジデント 2 救急で必ず出合う疾患編 Book ステップビヨンドレジデント 2 救急で必ず出合う疾患編

著者:林 寛之
販売元:羊土社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

こちらでご確認ください。ほんとに林先生は最高です。大変わかりやすくまとまっています。

--
胃洗浄と活性炭の適応は大分限られているというのが大事な点ですね。過剰適応は医療資源、看護師などの労働力、合併症(誤嚥)を起こすなどあまりいいことなさそうですね。

2009年3月 7日 (土)

中毒1

2月の前半は毎日車で120キロくらいかけてちょっと都会の病院で中毒のローテーションをしました。私の田舎の病院でも中毒は結構来ますが、やっぱり都会の方が量も種類も多い見たいということで行ってみました。

そんなに驚くような症例があったわけではないですが、毎日症例カンファレンスをして質の高い中毒の講義を聞くことができてとても充実でした。

自分の診療でなんとなくやっていたことに裏づけをしてもらったし、ぼんやりとしていた知識をよりはっきりとしたものにしてもらえたし大分充実でした。

添付の写真は州の中毒情報センターにいったときにあった色々な中毒を起こす物質の匂いを嗅いで答えを当てるという講義。Img_0014

« 2009年2月 | トップページ | 2009年5月 »